出版・翻訳に関する契約

BVB関連書籍に出版権・翻訳権の取得

バールティーヤ・ヴィディヤー・バヴァン占星術コースが出版する書籍を日本国内で翻訳及び出版する権利を正式に取得しました。

契約書は2017年4月20日夕刻、KNラオと清水俊介の間で正式に取り交わされました。
証人としてディーパック・ビサリア、アニール・クマール、ディネーシュ・ジェインら三名が同席し、契約書に署名しました。

契約書には様々な合意事項が明記されていますが、以下の部分は読者のみなさんにとっても重要かなと思います。

7. Author grants Publisher the sole and exclusive right to publish, distribute, and sell the English/Hindi version of the Work which is translated into Japanese by Publisher under this Agreement. 

7.著者(KNラオ)は出版者(清水)にたいして、英語・ヒンディー語の著作物を日本語に翻訳し、出版・流通・販売する唯一独占的な権利を付与する。

常識のある方なら、ここまでを読んだ段階で事態を十分理解され、遵法精神に則り、翻訳権・著作権・出版権の侵害はなさらないと思います。

ところが例外的な方も一部にはいらっしゃるようなので、もう少し踏み込んで、今回、KNラオが世界で初めてこのような契約書を交わす決断をする意図について説明しましょう。

KNラオの意図と背景

清水がラオ先生関連の著作物を独占するんじゃないかと意図的に曲解する人たちがいます。しかしそもそも著作権は法律で守られている権利であり、独占するしないという言葉じたいに意味がありせん。そしてその権利がこれまで侵害され続けてきたことにこそ問題があるのです。

今回契約書を交わすことにより、その権利を明確に主張できる権利と立場をわたしが著者から法的に委託されました。
法的に当然守られるべき著作権・翻訳権を主張することがこの契約の目的です。

契約を締結するに至ったラオ先生(KNラオ)の意図と背景について説明します。

インド占星術に対する正確な理解:ラオ先生の本を翻訳するからには、最低でもバーラティーヤ・ヴィディヤー・バヴァン占星術コースくらいは修了しているレベルであってほしい。プロの通訳を雇っても、占星術の通訳は役に立たないのはこのためです。2003年、某貿易会社が主催したインド大使館でのビシュヌ・バスカー氏の講演会の時、大使館には専属の通訳スタッフがいたにもかかわらず、わたしが通訳を務めることになった背景にはそういう事情がありました。結果的に、わたしが資料の翻訳と通訳を引き受けることになりました。

著者の理念・思想の理解:とくにラオ先生は占星術を通して伝えたい理念なり考えなりがあります。ラオ先生が何を望み、何を望んでいないかを理解している人に翻訳を任せたいというのは理にかなっています。端的に言えば、ラオ先生が「やりなさい」といっていること、「やるな」といっていることを理解しているかどうかということですね。ラオ先生はそういうところをテクニック以上に重視しています

取捨選択は困る:どの著者も著書の一部だけを翻訳されることを好みません。訳すなら全部訳してほしい。これが著者の意図です。しかし法律では、一部を翻訳して引用することは認められています。その場合、引用先を明記し、その分量も常識的な範囲内に限られます。ところが一部分だけを取捨選択して翻訳しながら引用元を明記せず、しかも常識をはるかに越えるほどの分量を販売用テキストに埋め込み、それを解説動画とバンドルして4万円とか6万円とかで売り出すようなケースが実際に存在します。それは、著者の意図に反するだけでなく、著者のブランドと名誉を傷つけかねない行為です。もちろんラオ先生はそのような行為を快く思っていません。

金銭的な契約:これも、信頼関係を構築するという意味では大切です。ラオ先生はお金にがめつい人ではけっしてありません。しかし、要求されないから出さないでいいという話ではありません。たとえば、わたしは昨年、インドを訪れた際、電子出版の著作権料として千ドル相当のルピーを支払っています。契約内容を遙かに超える額を毎回支払っています。それはリスペクトであり、ドーネーションも含んでいます。

③についていえば、ラオ先生と親密な関係に(たとえば門下生で)あるかのような印象を購入者に与えかねないほど、つまりそれほど常識の範囲を逸脱して大量に、ラオ先生関係者の著作物から引用して制作され、何年にもわたって販売され続けてきた教材があります。しかし、実際そのような教材が日本で大々的に販売されていることをラオ先生はつい最近まで知りませんでした。制作・販売者の名前もラオ先生は知りません。もちろん教材の制作・販売者はラオ先生たち著作者と契約も交わしていません。当然、著作権料もラオ先生に支払らわれたことがありません。つまりラオ先生が関知しえない日本において、ラオ先生とはまったく無関係な人たちによって、あたかも門下生か弟子でもあるかのような印象を醸し出しつつラオ先生らの著作物を元にした情報商材が次々と制作され販売され続けてきました。

こういういきさつがあって、ラオ先生が外国人であるわたしと世界で初めて出版権・翻訳権に関する契約をかわすことになりました。

7. Author grants Publisher the sole and exclusive right to publish, distribute, and sell the English/Hindi version of the Work which is translated into Japanese by Publisher under this Agreement.

7.著者(KNラオ)は出版者(清水)にたいして、英語・ヒンディー語の著作物を日本語に翻訳し、出版・流通・販売する唯一独占的な権利を付与する。

※ラオ先生は契約の署名が終わると「With this you can sue them!」とわたしに激を飛ばされました。占星術の権利をめぐって最高裁まで戦った人だけあります。

Q&A

Q:出版された後はラオ先生でさえも所有権を主張できません。つまり、科学的真理ではないでしょうか?

数十年前なら、いったん公開されたものの権利はないがしろにされがちでした。しかし現代では、所有権と呼ばずに、知的財産権として、公開された技術上のノウハウに対する保護は年々強められています。

知的財産権で保護されるのは、知的創作物、営業上の標識、および、それ以外の営業上・技術上のノウハウなど、有用な情報です。

たとえば新薬が発売されたとして、その成分を分析して同じ商品を出しても、その薬が病気を治すことはご質問者がいうところの「科学的真理」ということになるでしょう。

しかし現代では、新薬の特許が厳しく規定され、一定期間を経てからでないとジェネリック薬品を出せないようになっています。
他にも、食品、音楽、絵画、機械技術、あらゆる分野で、知的財産権は強く保護される方向に時流が動いています。

わたしたちは公開された技法の「所有権」を主張しているわけではありません
その技法を読者が使うこと自体は否定していません。
あくまでも、出版物の不正引用や濫用について問題にしています。

Q:「騎士団長殺し」に対する「村上春樹『騎士団長殺し』メッタ斬り!」と本質的には同じではないか?

これは著作権法でいうところの「二次的著作物」の問題になります(著作権法11条)。
つまり、オリジナルの創作物をベースにした二次的な創作物であっても、原著作物と同等の権利を有することがあるという考え方です。
どの程度までセーフなのかは、裁判所で判例が積み重ねられつつある段階です。

おそらく以下の3点がいえるのではないかと思われます。

1.二次的著作物は、引用元が明記されていることが重要です。事前の契約や合意がなかったとしても、原著作物との協力関係にあることを明示しておかなければ、裁判では盗用と見なされます。

 一次創作物のアイディアを、あたかも自分で考えだしたもののように見せかけることは、アイディアの盗用とみなされます。引用元を示しておけば、盗用疑惑を否定できます。また、現創作物の販売増進に寄与していという都合の良い主張もできます。現実問題として、出版社やテレビ局は、引用元の表示についてすごく神経質になっています。

2.二次的著作物として認められるためには、引用された分量が常識的な範囲内であることが求められています。何ページにもわたって引用が列記されている、あるいは何ページにもわたって原文と翻訳文が続くのはいかがなものか。それは、たとえ引用元が明示されたとしても、二次的著作物としては認められないでしょう。一冊丸ごとではないにしろ、常識的に考えてこれは二次創作物とは呼べません。

3.作者のオリジナリティーが明らかに見られるか。
 独自のホロスコープを使って検証しているなら、それは二次的著作物と見なされるかもしれません。しかし、著書で使用されている事例をそのまま引用しているようでは、二次的著作物としては認められないでしょう。

 ちなみに、漫画においては、「二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分のみについて生じ、原著作物と共通しその実質を同じくする部分には生じないと解するのが相当」という判例があります。

翻訳権に関する契約書の調印式

2017年4月20日、BVB関連著作物の翻訳権に関する正式な契約書の調印をKNラオ宅で行いました。

その模様をご報告致します。


3ページにわたる英文の契約書にサインするラオ先生


調印の証人としてサインするビサリアジ。
その他2名のBVB教官が証人としてサインしました。

そしてわたしもサインしました。

計5名がサインするというやや厳かな儀式になりました。

契約書は同文で3通作成・署名され、2通はデリーで、1通は日本で保管されることになりました。

契約書はビサリアジのご子息でもある弁護士に作成してもらいました。

ジョーティシュ・サンクチュアリー │ ヴリンダーヴァン
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