幸不幸の原因は●●にある～『カルマと輪廻転生』（その3）

わたしはまず、偉大な叙事詩『ラーマーヤナ』（रामायण）で主ラーマ（राम）が14年間にわたって森で暮らすあいだに、ラクシュマナ（लक्ष्मण）が森の王ニシャーダラージ（निषादराज）に与えた訓戒をここに引用することから始めましょう。

「幸福や不幸の原因は他人にあるのでは決してない。
原因はすべてあなたが過去生で積んだカルマにある。

だれかのせいであなたが幸福になったり、
だれかのせいであなたが不幸になったりするのではない。

もしあなたがそうだと言うのなら、あなたは無知である。
『わたしがそれを行う』と思うこと自体が無知なのである。

みんなだれでも自分自身のカルマに縛られているにすぎない。
自分の行い次第で、友、敵、無関心の対象、嫉妬の対象が生じるにすぎない。

したがって、どのような状態にあろうが、
たとえそれで幸福になろうが不幸になろうが、
すべてを自らのプラーラブダ（宿命）として受け入れ、
感謝の気持ちを忘れてはいけない。

わたしはといえば、
世俗的な快楽を望んではいないし、
またそれをとくに避けているわけでもない。

わたしの人生に快楽があろうがなかろうが、
わたしは快楽の虜になることはない。

いついかなるときも、
良いことであろうが悪いことであろうが、
為すべきことを為すのみである。
そしてその結果、
良いことが起きたからといって喜ぶわけでなく、
悪いことが起きたからといって悲しむわけでもない。

だれも神の法則を犯すことができないからだ。

人生は幸福と不幸から成り立っている。
なぜなら過去生の善業と悪業の混ざり合った結果として人間に生まれてきたからだ。

幸福の後に不幸が続き、不幸の後に幸福が続く。
幸福の内に不幸の因が生じ、不幸の内に幸福の因が生じる。
幸福と不幸は水と泥のように混ざり合って存在している。

したがって賢いものは、望みがかなったからといってぬか喜びをしないし、
かなわなかったからといって落胆したりしない。
すべてはマーヤー（幻力）の現れに過ぎないことを知っているからだ。」

（『アディヤートマ・ラーマーヤナ』／अध्यात्म रामायण）