十冊目のペーパーバック『ソーラーリターン』Amazonで好評発売中！

『ラオ先生の元弟子が書いたインド占星術の教科書～ソーラーリターン：ヴァルシャファラ』
ペーパーバック（オンディマンド）の十冊目。

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332ページ

Amazonの紹介文

インド占星術の専門書です。インド占星術の基本を理解している方を対象としています。

一年に一度同じ場所に太陽が戻ってくる瞬間で描かれたホロスコープを西洋占星術では「ソーラー・リターン」と呼びますが、インドでは「ヴァルシャファラ」と呼びます。
ヴァルシャファラは、1年の間に何が起きるかを予測するテクニックです。

詳しくは本書の第Ⅰ章（以下）からの引用をご覧ください。

第1章　はじめに

ヴァルシャファラ（वर्षफल）として知られるアニュアル・チャート（annual chart）は、未来に起こる出来事を予測するためのインド占星術の一分野です。最も広く使われているパーラーシャラ（पराशर）・システムに比べて、ヴァルシャファラの起源は比較的最近です。パーラーシャラ・システムの起源は、今日の最高レベルのコンピュータでさえかなわないほどの高い知性を誇っていたリシ（聖仙／ऋषि）の時代にまで遡ることができます。その後、パーラーシャラ・システムはダラバーラ（宮廷／दरबार）に根を下ろしましたが、やがて王権が衰弱するとともに市井で家庭の伝統（家伝）として継承されてきました。

ヴァルシャファラはもともとダラバーラ（宮廷）で発達しました。王からの突然かつ意表をついた、戦争・繁栄・後継者などに関するご下問に対して宮廷占星術師が即座に奉答できるように、パーラーシャラ・システムから派生したとされています。プラシュナ（ホラリー占星術／प्रश्न）は、ヴァルシャファラと近い関係にあり、起源と用途は共通している部分が多いとされているようです。ヴァルシャファラはいまではインド全土で使われるようになりましたが、もともとは北インドでより一般に使われてきました。ヴァルシャファラはウルドゥー語でタージカ（ताजिक）とよばれていることからもわかるように、ウルドゥー語が広く話されている北インドでより使われてきました。

インド占星術の一般的なホロスコープには「惑星（Planets）」と翻訳されるグラハ（ग्रह）が、12のハウス（バーヴァ／भाव）と12の星座（ラーシ／राशि）に配当されています。アニュアル・チャート（年間チャート／Annual Chart）、すなわちヴァルシャファラのホロスコープ（ヴァルシャ・クンダリー／वर्ष कुंडली）も基本構造は変わりませんが、アニュアル・チャートには特別のルールが存在します。アニュアル・チャート（年間チャート）は、ネイティブの一生のうちの任意の一年間だけについて詳しく論じるためのホロスコープです。もっと深く立ち入って詳細に論じたければ、その一年間のなかの任意の一ヵ月間について論じることもできるし、その一ヵ月間のなかの任意の一日間、あるいは任意の半日間だけについてさらに絞り込んで論じることもできます。そしてその結果、イベントの性質をより詳細かつ明瞭に知ることができます。しかもその発生のタイミングもより狭い誤算の範囲でより正確に知ることが可能です。しかしそれを可能ならしめるための計算量は膨大で、占星術家にとって大きな負担となります。このように、ヴァルシャファラは生まれてから死ぬまでの期間の任意の一年間だけを拡大する「拡大鏡」なのです。

一般にホロスコープはネイティブの誕生時刻をもとに作成しますが、ヴァルシャファラは太陽をもとにして作成します。つまり、太陽の黄経が鍵となります。ネイティブのソーラー・イヤーは、トランジットの太陽がネイティブの太陽と重なった瞬間を起点とします。トランジットの太陽が、ネイティブの太陽の位置を出発して同じ位置に戻ってくるまでの1年間が、アニュアル・チャートがカバーする期間です。このソーラー・リターンの時刻はヴァルシャプラヴェーシャ（वर्षप्रवेश）と呼ばれます。ヴァルシャプラヴェーシャの文字通りの意味は「一年の入り口」です。ヴァルシャ・クンダリーは任意の年のヴァルシャプラヴェーシャをもとにして作成されます。このように毎年アニュアル・チャートを作成し、その年に何が起きるかを詳細に調べることで占星術家は大きな利益を得ることができます。

●タージカシステム

インド占星術には以下のような異なるシステムが存在します。

a) パーラーシャラ・システム
b) ジェイミニ・システム
c) ヴァルシャファラあるいはアニュアル・ホロスコープ

最初の二つはジャータカ（जातक）、あるいはホーラーシャーストラ（होराशास्त्र）と呼ばれます。そして3番目のシステムはタージカ・シャーストラ（ताजिक शास्त्र）と呼ばれます。これら３つのシステムのなかで最も一般的なのはパーラーシャラ・システムです。パーラーシャラ・システムは、他の二つのシステムに基礎を提供しています。タージカ・システム（アニュアル・チャート）は、パーラーシャラ・システムと外見上とてもよく似ています。ホロスコープを作成する方法は、分割図（ナヴァーンシャ、ホーラー、ドレッカナ、サプターンシャ、ドゥワーダシャーンシャ、トリムシャーンシャなど）も含めて両システムはとてもよく似ています。さらに、タージカ・システムにも、パーラーシャラ・システムと同じくダシャーと呼ばれる、未来を予言するためのたいへん精巧なシステムがあります。