『ラオ先生が書いたインド占星術の教科書～ジェイミニのチャラ＆マンドゥーク・ダシャー』ペーパーバック（オンディマンド）の六冊目、Amazonで販売中です。
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420ページ
昨年9月から始まった怒濤のペーパーバックの出版は
ページ数にして延べ1,770になりました。
そのなかに、一ページたりとも、一行たりとも、
「～星座の人は～である」という記述はみあたりません。
天王星、冥王星、海王星も、一度も出てきません。
そういうインド占星術を、わたしは20年間やってきました。
それらをつかわなくても、インド占星術の運用に不都合はまったく生じませんでした。
この6ヵ月間に出版したペーパーバックの書籍6冊：
①入門編 （250頁）
②基礎知識編 （381頁）
③ヴィムショッタリー・ダシャー （167頁）
④ダブル・トランジット （245頁）
⑤カルマと輪廻転生 （307頁）
⑥ジェイミニ・チャラ＆マンドゥーク・ダシャー （420頁）
インド占星術の専門書です。
インド占星術の基本を理解している方を対象としています。
インド占星術には、次の４つのシステムがあります。
①パーラーシャラ
②ジェイミニ
③タージカ（ヴァルシャファラ）
④ブリグ（ナーディー）
本書は、インド占星術の世界的権威ＫＮラオが初めて書いた実用的なジェイミニ・システムの学習書です。
著者が提唱し、これまでに数万人の生徒たちに教え、そしてなによりも著者自身がこれまでに実修してきたコンポジット・メソッドは、鑑定精度を飛躍的かつ合理的に高める鉄板のメソッドですが、パーラーシャラとジェイミニの併用によりはじめて可能となります。
コンポジット・メソッドの習得を目指す者は、かならずジェイミニを使いこなさなければなりません。
著者は、20年以上にわたってジェイミニを研究し、3000年のあいだ失われていたチャラ・カーラカの意味と使い方を見出しました。
その後、チャラ・ダシャーをはじめとするジェイミニのダシャーを20以上使いこなしてきました。
そのうち代表的なチャラ・ダシャーとマンドゥーク・ダシャーの具体的な計算方法から運用方法までを明らかにした書籍を2冊、翻訳し、本書に収録しました。
著者の名は、これまでに無数の予言を的中させてきたことで有名ですが、その秘密がジェイミニにあることはあまり知られていません。
読者は、そのヒントを本書の中に見出すことができるでしょう。
なぜわたしがこの本を書かなければならなかったのか？
その説明をしなければいけません。
40年ほど前、わたしはジェイミニ占星術に強く惹かれていました。
しかし当時ジェイミニの使い方が書かれてある書籍はありませんでした。
わたしは絶望し、ジェイミニ占星術をいったんあきらめました。
その後わたしの占星術のレベルが一定の高みに到達したとき、
ジェイミニ占星術がわたしのそれまでの占星術のテクニックを
はるかに凌駕する存在であると思うようになりました。
そう思うに至ったブレイク・スルーを
わたしがどうやって為し得たかについては、
次章「はじめに」で説明します。
その間、
バーラティーヤ・ヴィディヤー・バヴァン に占星術コースが設けられ、
そこで占星術が教えられはじめました。
そしてまもなくジェイミニ占星術が
カリキュラムに組み込まれることになりました。
そのとき、ジェイミニをどうやって教えるべきか、
どの書籍を教科書にすべきか、
という二つの問題が浮上しました。
その問題に対して当時インド占星学会議（Indian Council of Astrological Sciences）は明確な答えを提示できませんでした。
ジェイミニ占星術に関するBVラーマン（रमन）の書籍には、
ジェイミニでプレディクションを行う方法についてなにも書かれてありません。
BVラーマンも、そしてラーマンの祖父も、
書籍のなかで実例を用いたジェイミニの使い方を説明していません。
ジェイミニに関する当時の一般的な印象は、
「寿命計算にだけ使われる特殊な技法」でした。
結婚、出産、仕事上の浮沈、などの人生の諸相を、
ジェイミニで予測する方法を解説した書籍はありませんでした。
パーラーシャラのヴィムショッタリー・ダシャーで十分だと主張する人がいます。
しかしその主張は、
『ブリハット・パーラーシャラ・ホーラー・シャーストラ』（बृहत् पाराशर होरा शास्त्रम्）の
最初の方にジェイミニ占星術の章が割かれてある事実を
無視することになります。
しかし、そうはいっても残念ながら『ブリハット・パーラーシャラ・ホーラー・シャーストラ』の翻訳者は、
ジャイミニ占星術のことを知りません。
かれらの翻訳はまったくもって無明であり、
危険なほどミスリーディングです。
かれらの翻訳を真に受けるのは、
破滅の道を歩むに等しいと言えます。
インドの栄光とリシ(聖仙／ऋषि)の伝統は、人類史上比類がありません。
それは、もしインドのインド学者が奴隷根性と物まねばかりの学風を払拭していたら、とっくの昔に証明されていたはずです。
そしてかれらは、地動説を唱えたコペルニクスに与えられた栄誉が、実はその何世紀も前にアーリヤバタ（आर्यभट） に与えられるべきだったことを発見していたはずです。
バラト・ムニ（भरत मुनि）が発展させた詩歌や芸術のレベルが、他の国や地域の文学のレベルよりも遙か昔にずっと高いレベルに到達していたことも、かれらは発見していたはずです。
たとえ西洋の学者、とりわけ帝国主義の学者がそれについてなにを言っても、何千年も昔からインド文化の方が英国文化よりもはるかに優れていたことを受け入れることができなかった英国の支配者がとったパラノイア的な反応に等しいことを、かれらは発見していたはずです。
古代インド史には、自然の浸食と野蛮人の侵入によって生じた長い空白が存在します。
それでも文明の残滓は存在します。
文明の残滓のひとつであるジェイミニ占星術も、知的な占星術家によって丹念に研究されるべき分野です。
そしてそれにより、ジェイミニ占星術は超科学としての本来の輝きを取り戻すべきです。
超科学という言葉は、わたしが愛国主義者だから使っているのではありません。
繰り返しますが、占星術は超科学です。
アメリカで数百のリーディングをこなし、それをわたしは証明してきました。
インドでは、わたしは記事を書き、書籍を著し、口頭で数千回、それを証明してきました。
わたしはコンポジット・テクニックでプレディクションを行い、それを証明してきました。
コンポジット・テクニックとは、世界の占星術史上最大の二大天才、マハーリシ・パーラーシャラ（महर्षि पराशर）とマハーリシ・ジェイミニ（महर्षि जैमिनि）のテクニックをブレンドしたテクニックです。
それは、マハーデーヴァ（महादेव）の『ジャータカ・タットヴァ』（जातकतत्वम:）からヒントを得てわたしが編み出した方法です。
わたしは、『Astrological Journey through History, Mystery and Horoscope』のなかで、このコンポジット・テクニックを使ってたくさんの事例を解説しました。
この本は、熱心な占星術愛好家たちが、最も役に立ち、最も革新的なテクニックが使われている書籍であると評価しました。
運命を無視することは、太陽が輝かないと言うに等しい愚かな行為です。
わたしは、デリーで
ジェイミニ占星術を教える負担を一身で担うことになりました。
しかし、デリー以外の地でジェイミニを教えている人がいるかどうかさえ
わたしはまったく知りませんでしたし、
ジェイミニの標準的な教授法などというものもありませんでした。
しかしそれでも、それができるのはわたししかいませんでした。
なぜなら、それまでにわたしはヴィムショッタリー・ダシャーを
一切使わずに多くのプレディクションを行ってきたし、
何年間も生徒たちの前でジェイミニのチャラ・ダシャーを使って
プレディクションを行ってきたからでした。
あるとき、ジェイミニの試験問題を準備しているとき、
わたしは奇怪な事実に目がとまりました。
それでわたしは、わたしの生徒たち──生徒と言っても
かれらはとても高学歴な大人なのですが──に、
ＢＶラーマンのスティラ・ダシャーがどれだけ使えないかを示し、
そしてスティラ・ダシャーをきちんと使った場合、
ラーマンの書籍で扱われているホロスコープのおよそ80%が
間違っていることを示して見せました。
その教訓は、占星術の書籍を書いているからと言って、
その人が占星術のエキスパートであるとは限らないし、
まして権威者であるはずがないということでした。
そもそも占星術をマスターすることなどだれにもできません。
ジョーティシュは科学のなかの科学です。
ジョーティシュは、
物質を扱う現代科学がカバーできない領域を扱う科学です。
ジョーティシュは、
いままでのどの科学の光も届かなかった遙か先の漆黒の暗闇に
はじめて光を照射することのできる科学です。
人類のあらゆる知識をもってしても説明することのできなかったことに、
はじめて説明を与えることのできる科学なのです。
ジェイミニ占星術の使い方を、
どこからでもかまわないから
とにかく説明しはじめることが求められています。
わたしはチャラ・ダシャーからはじめることにしました。
まずインドとアメリカで、
チャラ・ダシャーとヴィムショッタリー・ダシャーの両方を用いて
プレディクションを行う方法を教えはじめました。
この二つのダシャーを用いてプレディクションを行う方法を、
コンポジット・メソッドと呼びます。
本書の最後の事例のなかで、
コンポジット・メソッドをステップ・バイ・ステップで丁寧に解説しました。
いずれ、パーラーシャラの定義に照らしても
道徳的にすぐれた生徒が現れたら、
わたしはその人にわたしが知り得た秘技を伝えようと思います。
しかし、わたしが知り得た知識はまだまだ限られています。
ジェイミニ占星術という最も繊細で精妙な占星術には、
未開拓の大平原がまだ残されています。
その平原の広さに比べると、
わたしがこれまでに知り得たことはほんの一部に過ぎません。
したがってわたしがまず目指すべきは、
プレディクションに使える一般的なテクニックに
みなさんがなじんでもらうこと、
そしてその一方で、
重要なことはまだ明かさないでおくことです。
ジェイミニに関するわたしの二冊の書籍
（本書の前半で翻訳した『Predicting Through Jaimini’s Chara Dasha』と
後半で翻訳した『Predicting Through Karakamsha and Mandook Dasha』です）は、
ホロスコープとそのなかに織り込まれている運命をすばやく正確に把握するための、
第一歩となるでしょう。
運命を無視することは、太陽が輝かないと言うに等しい愚かな行為です。
ところでジェイミニ・リシ（जैमिनी ऋषि）とはだれでしょう？
この問いかけに対する簡単な解答は、わたしたちはかれについて聞いたことがあり、かれの箴言を編んだ『Jaimini Sutras』を読んでいるということです。
多くの学者が『Jaimini Sutras』の訳書を出版しています。
しかし、実際にどうやってプレディクションに役立てるかを書いたものはひとつもありません。
この点は、インド占星術の注釈書全般に見受けられる最大の欠点です。
注釈者たちは、自分がなにをやっているかを知っていますが、なにができていないかを知りません。
30年前、わたしはジェイミニに大きな可能性を感じながらも、どうしてもトンネルから抜け出すことができず、見込みがないとしてジェイミニをあきらめたことがあります。
ジェイミニ占星術を使ってプレディクションをしていると豪語する人たちも、かれらが提示した事例はひとつとして正しかったことはなかったし、まして再現可能なテクニックをかれらが開示したこともありませんでした。
かれらの名前を明かすことは控えますが、かれらはジェイミニの書籍を著しておきながら、ジェイミニの最も凡庸な予言テクニックについてすら説明していません。
初版の「はじめに」のなかで、ジェイミニのテクニックをどうやって見出したかをわたしは書きました。
それは神の恩恵でした。
ある巡礼の途上、汽車のなかで、二人のアーンドラ・プラデーシュ州出身のパンディタ（司祭）が、ジェイミニのテクニックについてテルグ語で議論をしていました。
テルグ語はわたしの母の母語でした。
わたしはかれらに、占星術とジェイミニについてわたしに知識があることを悟られないようにしました。
そしてそれ以上に好運だったことに、わたしがテルグ語を解することにかれらは気づきませんでした。
そしてかれらの会話から、わたしはジェイミニの解釈に関する手がかりを得ることができたのです。
それは、どの書籍にも書かれていないものでした。
わたしは本書を、まずかれら無名のグルたちに捧げたいと思います。
やがて汽車は目的地に着き、それ以上手がかりを得ることができませんでした。
それ以降、ジェイミニ占星術の復興にわたしはより一層の努力を傾けるようになりました。
そしてジェイミニ占星術へのアプローチのしかたを大きく変更せざるを得ないことを悟りました。
「インド占星術の秘技はパランパラー（師資相承の伝統／परंपरा）
のなかに隠されていて、それは書籍を読んで得られるものではない。
ほとんどはアーンドラ・プラデーシュ州内に封印・秘匿されている。」
そのことに、わたしは気づきました。
ヴェムリー・ラーマムールティ・シャーストリーがなぜそれほどジェイミニを信頼し、ジェイミニのダシャーだけを用いたのかを、わたしは少しずつ理解していきました。
1) ヴェルミーは、アーンドラ・プラデーシュ州の
ヴァールミキーのブラーフミン(僧侶階級 )の流れを汲んでいました。
ヴェルミーはヴェーダの伝統のなかで育ちました。
父親は、汚れるからという理由でヴェルミーに
英語の教育を受けさせませんでした。
ヴェルミーは幼年時から古典を学び、ヴェーダ（वदे ）を記憶し、
そして少年のときから占星術を学びました。
2) 父親はサンスクリットを学ばせるために
ヴェルミーをバラナシに送りました。
バラナシのサンスクリットの学者たちは、ヴェルミーの才能に驚き、
かれにジェイミニの経典をたくさん読ませました。
しかしかれらはヴェルミーが経典をコピーすることを許しませんでした。
それでヴェルミーは経典を丸暗記し、
2 万に及ぶシュローカ（双句 ）を書き残しました。
3) ヴェルミーはジェイミニ・システムが
最も洗練された占星術であると確信していました。
しかしそれを理解するには、優秀な頭脳と、鋭い直感と、
そして厳格な規律が求められます。
しかしこのような資質はたいへん希有で、
かれの教えを求めにきた多くの弟子たちのなかに、
ヴェルミーはその資質を見出すことができませんでした。
現代人によくあるように、弟子たちは簡単かつ短期間に
それを知りたがります。
4) ヴェルミーが所有していた経典は、
村で発生した火事ですべて焼失してしまいました。
一般的にそう信じられていますが、
しかしヴェルミー自らが資料をすべて焼いたという人もいます。
なぜなら、ヴェルミーはそれを託すにふさわしい弟子、
高い精神性と謙虚な姿勢を兼ね備えた人物を
見出すことができなかったからでした。
ヴェルミーはジェイミニの伝統を復興することはしなかったし、その意思もかれにはありませんでした。
しかしかれのリーディングとかれが用いたジェイミニのダシャーからわたしは学び、わたしは幻惑されました。
占星術の新世界がわたしの目の前に広がっていました。
わたしは、グル・ドローナーチャーリヤに一度もまみえることのなかった弟子エカラヴィヤのように、一度もまみえることのなかったヴェムリー・ラーマムールティ・シャーストリーに、本書を捧げたいと思います。
最初、わたしはかれの噂を聞きました。
その噂は、次のようなものでした。
「アーンドラ・プラデーシュ州にとても誇り高い占星術家がいる。
かれは厳格無比で、決して妥協をしない。
かれはヴィムショッタリー・ダシャーを一切使わず、
出生図（D1）とナヴァーンシャ（D9）、
そしてジェイミニのダシャーしか使わない。
しかし、かれが使うジェイミニのダシャーは30種類もある。
ホロスコープ上の惑星の配置を見て、
かれは最適のダシャーを選定することができる。
かれの名前は、ヴェムリー・ラーマムールティ・
シャーストリー（वेमुरी राममूर्ति शास्त्री）である。」
アーンドラ・プラデーシュ州出身のかれの崇拝者によれば、
かれはヴァイディカ派 （वैदिक）に属しているという。
それを聞いて、わたしはかれについてもっと知りたいと思いました。
そして、かれについてわたしが知り得たことは、
「サンスクリット語を習得するかれの能力はずばぬけて高く、
ジェイミニの失われたテクニックをかれは次々と復活させている。
しかし、ぶっきらぼうで棘のある言動ゆえに、 かれには友人がいない」
ということでした。
昔は、たとえば先生が、たとえ辛辣な言動をしても、
忠実な生徒や弟子たちは先生のそばを離れませんでした。
いまわたしたちが住むこの世界は違います。
グルは弟子のレベルまでへりくだり、弟子のエゴを満たさなければいけません。
弟子はといえば学歴を鼻にかけ、VIPのように扱われることを要求します。
その態度に謙虚さのかけらもありません。
占星術雑誌を編集・出版しているだけにすぎない占星術家も、あたかも優秀で偉大な占星術家のように振る舞い、そう扱われることを望みます。
同様のことは、占星術の本を書いている人たちについても言えます。
かれらは入手可能な知識をただ寄せ集めて占星術の本を編んでいるに過ぎません 。
わたしの友人によれば、ヴェムリー・ラーマムールティ・シャーストリーは、このような占星術の成り上がり者を許容しませんでした。
ある占星術雑誌の高名な編集者が、500ルピーでヴェムリーに仕事を依頼したことがありました。
ヴェムリーはかれに軽蔑の眼差しを向けながら、
「おまえはジェイミニ・システムを使ってちゃんとプレディクションをすることができるのか？」
と問いかけました。
なぜなら、その編集者はジェイミニの本を書いていたからでした。
そしてヴェムリーは「そんなはした金、ひと鑑定30分もあれば、この村でだって俺はすぐに稼ぐことができる」と言って断りました。
なぜそんなに的中するのか？ それは数千年の伝統を誇る正統インド占星術だからなんです。
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