八冊目のペーパーバック『選択占星術 ムフールタ』販売中！！

わたしは、このすばらしい本をKKジョーシーが執筆するにあたり、かれを指導していないし、編者として本書に手を加えてもいません。わたしが本書になにか関与したかと言えば、ムフールタについて現代的な視点から本を書くようにとKKジョーシに言ったことくらいです。

それからもうひとつ言いました。それは、古典に書かれてる内容を棄損することなく、しかし古典の難しい部分を現代の文脈に置き換えてわかりやすく書くようにしなさいとも助言しました。

忘れてはならないのは、クリヤマーナ・カルマ（क्रियमाण कर्म）と呼ばれる領域があり、そこにおいてわたしたちは自由意志を行使し自ら運命を切り開いていくことができるということです。クリヤマーナ・カルマについては、拙著『ラオ先生が書いたインド占星術の教科書～占星術が明かすカルマと輪廻転生』で論じてありますのでご参照ください。

ムフールタを用いてわたしたちは好運を最大化すると同時に不運を最小化することができます。好ましくないムフールタを避けることで、わたしたちは最悪の事態を避けることができます。

わたしがKKジョーシーに本書を書かせた理由はいくつかあます。ひとつは、ジョーシー（जोशी）というかれの名前です。ジョーシーという名前は、ヒマラヤ山脈のクマーオン（कुमाऊँ）という地域の出身者に多い名前です。そこの占星術家は、占星術の伝統を無傷で完璧なままで保存しています。

ジョーシー家の祖先はマハーラーシュトラ州やグジャラート州に住んでいました。かれらはムガール帝国時代にイスラーム教への改宗を拒否し、より安全でスピリチュアルな居住地を求めてヒマラヤに移住してきました。占星術家を意味したジョーティシという言葉は数百年を経るうちにジョーシーに変わりました。

そう、ジョーシーは生まれながらの占星術家なのです。ジョーシーを名乗る人々は方々に散って暮らしていますが、占星術の伝統はかれらのなかにいまなお脈々と息づいています。

KKジョーシーは大学院大学で経済学を教えています。かれはブラーフミン（僧侶階級／ब्राह्मण）の伝統である教師をしていますが、古典ではなく非伝統的な学問である経済学を教えています。そしてかれは、わたしたちの占星術学校、バールティーヤ・ヴィディヤー・バヴァン（भारतीय विद्या भवन）に入り、占星術を学びなおすことにしました。

しかし、それはかれの謙遜の現れでした。かれは試験でトップの成績を収め、卒業してすぐ教官になりました。KKジョーシーを教官に迎えることはわたしたちにとっても好運でした。

かれはすぐに古典的な要素に現代の要素を加味し始めました。かれの担当教科は、まだ英語で本格的な教科書が書かれたことのないムフールタでした。ヒンディー語のムフールタの書籍はたくさんあります。しかしそれらはどれもスタンザ（対句）の羅列で、現代の教科書のように体系立てられていません。