わたしは昨年あたりから哲学を扱った番組に目が行くようになりました。
たとえばEテレで高田純次がMCを務めた『世界の哲学者に人生相談』。
これはなかなか面白かったですね。
心理学ブームや脳機能科学ブームが下火になってきて
それらから派生したコーチングや自己啓発の商材も
前ほど売れなくなってきたといいます。
仕掛け人たちは
より上流に位置する「哲学」に
こんどは探りを入れているのでしょうか。
そして
今月からEテレ「100分de名著」で
スペインの哲学者オルテガが扱われています。
『大衆の反逆』中島岳志

オルテガは『大衆の反逆』の著者として有名ですが
わたしには故・西部邁が著書や論壇のなかで
その言説をよく引用していた人物として
印象に残っています。
講師を務める中島岳志は
西部邁が主催していた雑誌『表現者』の
編集者のひとりでもあり
主要執筆者のひとりでもありました。
オルテガが残した有名な言説のなかでこんなのがあります。
「パンを求めてパン屋を破壊する」
講師の中島岳志は
「自由を求めて自由を破壊する」大衆の姿を
オルテガは「パンを求めてパン屋を破壊する」と表現している
と解説しています。
自由は
自由をただ謳歌することで担保されることはない
むしろ
勝って気ままな「自由な振る舞い」によって
自由は破壊されてしまう…。
そう
わたしたちが当然のように享受している自由は、
複雑で精緻な約束事(制度)の上に
かろうじて平衡を保ちながら担保されている
のです。
それは
ガラス細工のように壊れやすい奇跡
なのです。
わたしは師匠・KNラオを思い出します。
KNラオはよくこう言います。
“Don’t do that. You are destroying astrology”
(~はするな。占星術を破壊するだけだ。)

インド占星術は精度が高いとよくいわれます。
それはインド占星術を使えばだれでも当たる
ということではないのです。
まず、それを担保する精緻なシステムが存在し
次に、それを深く正しく理解する占星術家が存在する。
その両方がそろったときのみに起きる奇跡なのです。
オルテガはこうもいいます。
「私たちは死者に縛られている」
死者とは、祖先のことであり
つまりは慣習とか伝統を指します。
講師の中島岳志は
死者は身体が失われたあとも私たちのそばにいて
この世の中を支えてくれていると考えられていた
過去の叡智や失敗の蓄積の上に現在があるのだから
今生きている人間だけによって
既存の取り決めをなんでもかんでも
変えたりしていいということにならない
と読み解いています。
占星術における死者たちとは
種々の古典であり
KNラオがこれまでに出会ってきた
数百人のヨーギーたちや
数千人の占星術家たち
なのです。
先人が残した叡智の上に
いまの占星術がかろうじて
存続しているにすぎない
のです。
そして
祖先や古典
そして先人たちは
木星によって表されます。
占星術を学び実践する上で
強くて状態のよい木星が好まれるのは
このためなのです。
”Frailty, thy name is woman”
<弱き者よ、汝の名は女なり>
とは、シェークスピアがハムレットに吐かせた言葉です。
”Frailty, thy name is Jyotish”
<弱き者よ、汝の名はジョーティシュなり>
もありかな…
と思ったりします。
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