わたしの2011年の講義ノートから紹介しましょう。
バーラティーヤ・ヴィディヤー・バヴァン の2年の通常コースを終えてリサーチ・クラスに進級してきた生徒たちに向かって、「リサーチを行う上での注意事項」をKNラオが述べたものです。
目次
①ホロスコープが疑わしいときはチャラダシャーを使う
疑わしいホロスコープには、まずチャラダシャーを用いなさい。
そして
教育、結婚、子供、職業について
疑義の挟みようのない出来事について検証し、
アセンダントを特定しなさい。
それから
ヴィムショッタリーダシャーを使い、
同じ結果になるようにアセンダントの経度を決定しなさい。
これはけっして簡単ではない。
手強い作業である。
その際
関連する分割図を用いなさい。
コンディショナルダシャーが使えるなら、それも用いなさい。
②バイオファクトを用いて検証する
ホロスコープが正確であると受け入れる前にやるべきことがある。
それは、
できるだけ過去の出来事に関する情報を収集し、
ホロスコープを検証しなさい。
その際、
疑義の挟みようのないバイオファクト(生物学的事実)をもっぱら用いて検証しなさい。
そしてリサーチでは、同じパラメータを用いて多くのホロスコープについて同じやり方を繰り返しなさい。
③すぐに結果がでるプレディクションを行って検証する
短期的なプレディクション(予言)を行いなさい。
そして
すぐにフィードバックをもらい、
ホロスコープが正しいかどうかを確認しなさい。
もしプレディクションの大半が的中するなら、
そのホロスコープは正しい。
そして
異なるホロスコープを正しいとするほかの占星術家のクレームは、
気にする必要はない。
④パンディットのことばは気にしない
英語とサンスクリット語の両方を知っているとするパンディット(サンスクリット学者)の見解は無視しなさい。
インターネットや雑誌には、かれらが引用したシュローカがあふれている。
⑤プレディクションを外したら素直に認める
それでも、ホロスコープが正しくないために結果が得られないことがある。
それは、正直に受け入れなさい。
そうでなければ、
それは占星術にとって有害です。
そしてあなたは不誠実な占星術家だという烙印を押されるだろう。
嘘つきになってはいけない。
わたしはプレディクションを外したら
素直に認め、
その理由を述べることにしている。
⑥思いつきをすぐに発表しない
リサーチの過程で
素晴らしいアイディアを思いつくことがある。
しかし
公表する前に、できるだけ多くのホロスコープで検証しなさい。
検証では最低でも25以上のホロスコープを用いなさい。
しかし、そこでとどめてはいけない。
それを用いて実験的にプレディクションを行い、
結果を検証しなさい。
そのうえで
ようやく通常のリーディングで用い、
記事に書くことができる。
⑦疑わしいホロスコープの分析記事は読まない
書籍や雑誌には、
種々雑多なテクニックが公開されている。
疑わしいホロスコープをけっして用いない正直な占星術家がいる。
しかしその一方で
疑わしいホロスコープを平気で多用する不誠実な占星術家もいる。
そういう不誠実な占星術家が書いた記事は読むに値しない。
時間の無駄である。
⑧疑わしいテクニックを用いて書かれた記事も読まない
まっとうなテクニックを用いて記事を書いている占星術家がいる。
その一方で、そうでない占星術家もいる。
誠実な占星術家が書いた記事だけを読みなさい。
占星術の世界は、悪意に満ちた人々であふれている。
占星術に貢献しようという気は、かれらにもうとうない。
⑨二つ以上のダシャーを用いる
ホロスコープを分析するときは
必ず二つ以上のダシャーを用いなさい。
記事を書くときは、簡単のためひとつのダシャーを用いた分析を書くとしても。
⑩推敲する
記事を書き終えたらダブルチェックしなさい。
思考の流れは、目や手の動きよりも速い。
無意識に誤りをおかしがちである。
わたしは残念ながら、推敲者としては失格である。
⑪不確実な出来事にもとずいた検証はしない
ダシャーを使ったリサーチの過程で
不確実な出来事(たとえば首相になった時期)にもとづいて分析をしても、
その結果に意味はない。
兄弟姉妹の誕生、学業の内容、両親にまつわる出来事、キャリア・パターン(浮沈)、結婚、子供の誕生などの出来事をもとに分析・検証しなさい。
雑誌やネットで公開されているリサーチの大半は、
1~2の出来事だけを検証しているが、
その出来事でさえ真偽が疑わしい。
⑫占星術には明かすべきでないタブーがある
何について書き、何について書かないかは、悩ましい問題である。
寿命や性犯罪に関するテクニックは鑑定でも著述でも開かすべきでない。
それが、往年の誠実な占星術家たちの一致した見解である。
以上が、わたし(KNラオ)が著述するときに厳格に守っている原則です。
バーラティーヤ・ヴィディヤー・バヴァン の教官も、記事を書くときにこの原則を守っています。