前回紹介した占星術家DVスバーラオに続いて
今回はブリグ占星術のエキスパートKCサクセナのホロスコープを紹介しましょう。
インド占星術には、パーラーシャラの他に、
ジェイミニ、タージカ、ブリグ
などのシステムがあります。
前回紹介したDVスバーラオについて
ナーディー占星術で驚くほど正確な時刻修正をしていた
とKNラオが書いていましたが、
ナーディー占星術を北インドでは
ブリグ占星術と呼びます。
KNラオは、
ブリグ占星術の技法を多く知りながら、
そしてその技法を普段使用していながら
ブリグ占星術を教えることはありません。
KNラオが担当するシニア・リサーチの生徒に、
ときどきいくつかの技法を
ポロリと教えることはあっても
ブリグ占星術の全貌を
教えることはありません。
それは、
ブリグ占星術を使うことには
ある種のリスクがともなうからです。
KNラオが
「プッシュボタン式なリーディングはしないように」
と生徒を戒めているのと関係します。
それについてはいずれ機会があれば
もう少し詳しく書くこともあるかも知れません。
出典
記事:”The third lord/third house” Journal of Astrology, January-March 2003, pp9-26.
著者:K.N.Rao

事例8 K.C.サクセナ
わたし(KNラオ)は自著の中でKCサクセナのストーリーに紙幅を割いたことがあります。
KCサクセナにふさわしい崇敬の念を表す意味もありました。
KCサクセナは、
誰も知らなかったブリグ占星術の奥義を解き明かすのに
人知れず心血を注ぎました。
そして、
人生の最後のマハーダシャーで
その努力が結実しました。

そのダシャーは
3室と6室を支配する水星期でした。
水星は4室に在住して10室にアスペクトしています。
ナヴァーンシャ(D9)では、水星は10室で高揚しています。
KCサクセナの水星期は、
1976年10月5日に始まりました。
わたしとかれとの交友は
1982~3年から始まりました。
水星/太陽期でした。
KCサクセナは1991年3月12日に亡くなりましたが、
そのときまでわたしたちの交友は続きました。
KCサクセナはわたしの部屋を訪れるたびに、
かれが発見したブリグ占星術の奥義を明かし
わたしを驚かせました。
しかしほんとうの奥義は
かれはけっして明かすことはありませんでした。
その点はDVスバーラオとは違いました。
しかし私の部屋で
ブリグ占星術を用いて
素晴らしい鑑定を
しばしばわたしに披露しました。
水星は占星術の惑星です。
KCサクセナの水星期は、
その点ではすばらしかったのですが
水星期は晩年にめぐってきました。
KCサクセナが占星術に興味を抱いたのは
土星期でした。
RSLスリヴァスタヴァに、
職業について驚愕の予言をされたのがきっかけでした。
KCサクセナは中央官庁に勤務し
退職時は局長でした。
このとき、わたしたちはしばしば会って
占星術について語り合いました。
KCサクセナは土星・月期、
ホシァプルのブリグ占星術家ととても親しくなり、
ブリグの経典の葉の一部をその占星術家から手渡され、
そしてイベントをピンポイントで予言する方法を教わりました。
その前に、かれは南インド出身の同僚からも同様のことを習いましたが、
そのときはブリグではなくナーディーといわれていました。
水星/木星期、KCサクセナはブリグの本を著し
そのなかで金星について書きました。
しかし金星を使って結婚のタイミングを求めるブリグの奥義については
KCサクセナは明かしませんでした。
水星/木星期、その惑星の象意どおり
KCサクセナは著者になり、
生涯最初で最後の執筆をしました。
KCサクセナは、ブリグ占星術の奥義を明かすことはありませんでした。
本をもっと書くことができたのに書くこともしませんでした。
わたしはKCサクセナにせかしました。
そのつどKCサクセナはいらだち、
「土星期のアンタルダシャーが近づいているからか?」
とわたしに詰問したことがありました。
KCサクセナのいうとおりでした。
水星/土星期、KCサクセナは逝去しました。
水星は、ナヴァーンシャ(D9)では高揚し、
高揚する金星にアスペクトされています。
水星は、ラーシ(D1)では3室を支配して10室にアスペクトし、
ナヴァーンシャ(D9)では10室を支配しています。
11室ではガジャケーサリヨーガができていますが、
逆行する土星に、
火星が致命的なアスペクトを投げかけています。
土星は、7室に在住し、
執筆ができるほど健康であるにもかかわらず
KCサクセナの命の灯明を消し去りました。
それは神の意志でした。
ブリグの本は、日の目を見ることがありませんでした。
(つづく)
※著作物から要約・引用するにあたり、わたしはラオ先生との間で契約を交わしております。
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