今回から具体的に専門ごとの事例を紹介しましょう。
最初の事例は法律家です。
出展
雑誌:“Law”, Journal of Astrology, October-December 2003, pp.60-61
著者:Neeta Bakhru
事例
外資系ローファームに勤務する女性のホロスコープです。
1968年10月30日;05:00;Bharatpur(Rajastan)
∮ラーシ(D1)
乙女座ラグナでラグナ・ロードの水星は火星が支配するナクシャトラ(チトラ)で高揚しています。
火星は、わたしが思うに、法律、エンジニア、そして高度な技術系の科目のカーラカです。
水星は教育のカーラカで、木星(法律)と火星(ロジック)とラグナでコンジャンクトしています。
木星は、教育の5室とその支配星・土星にアスペクトしています。
5室を支配する土星は、7室の魚座で水星のナクシャトラ(レーヴァティー)に在住しています。
数学を司る水星も、5室を支配する土星にアスペクトしています。
水星、土星、木星はいずれもディグ・バリ*を得ています。
以上から、テクニカルな影響とノンテクニカルな影響を5室の支配星は受けていると評価できます。
∮ダシャー
彼女は火星期に生まれましたが、火星期は2年9ヵ月残っていました。
そしてラーフ期に学校生活が始まりました。
ラーフはそれ自身がテクニカルな惑星ですが、5室を支配する土星とコンジャンクトし、土星のナクシャトラに在住しています。
∮ナヴァーンシャ(D9)
ナヴァーンシャでは、マハーダシャーナートのラーフは、教育を表す5室に在住しています。
5室は火星が支配しています。
火星は土星が支配する星座に在住しています。
チャトルヴィムシャーンシャ(D24)*では、ラーフは火星とケートゥとコンジャンクトしています。
分割図においても、凶星が教育に強く影響しているのがわかります。
少女時代、彼女は凡庸な生徒でした。
9歳の時、ラーフ/土星期が始まりました。
土星は5室を支配しています。
こういうとき、成績が伸び始めます。
彼女はクラスではじめて2番になりました。
そして10年のとき、彼女は学校で1番になりました。
11年生の時*、彼女は数学を専攻する理系コースに進みました。
ラーフには水星がアスペクトしていて、数学に自然と傾いていきました。
1984年、ラーフ/金星期でした。
金星は火星の星座に在住しています。
火星はマハーダシャー・ナートのラーフと5室支配の土星の両方にアスペクトしています。
彼女は1番の成績で高校を卒業し、電子工学、数学、物理のコースに進みました。
ラーフ/太陽期でした。
ラーフは、5室を支配する土星とコンジャンクトし、土星が支配するナクシャトラに在住しています。
これは、理工系の教育を表しています。
彼女は大学院に進んで電子工学を専攻しました。
1989年7月、ラーフ/火星期でした。
火星は理工系のカーラカです。
火星は8室を支配しているので、突然の変化も表します。
ラーフ/火星期は1989年8月に終わり、木星期が始まりました。
ひとつのダシャーが終わり、新しいダシャーが始まるとき、大きな変化が訪れます。
彼女は理工系から経営学の人事に専攻を変え、デリー大学の夜間コースで法律を学び始めました。
ラーフ期に彼女は理工系の学問を専攻しました。
そして木星期が始まるやいなや、考えが変わり、法律学と経営学を学び始めました。
学業におけるマハーダシャーの影響を見て取ることができます。
木星は経営学と法律学のカーラカです。
木星期が始まるとすぐに彼女は経営学と法律学を学び始めました。
∮ジェイミニ
彼女が専攻を変えたとき、チャラダシャーは蠍座/山羊座でした。
山羊座は、ラグナとプトラカーラカから見ると5室です。
5室を支配する土星から見ると11室にあたります。
彼女は高校と学部レベルでは成績優秀でしたが、文系を選択しませんでした。
カーラカーンシャラグナ*は魚座です。
魚座には、土星が在住し、木星、火星、水星がアスペクトしています。
これらは法律のコンビネーションです。
(つづく)
*チャトルヴィムシャーンシャ(D24):教育を見るときに使う分割図です。はよほど出生時刻が正確でないとふつう使用されません。この事例では、アセンダントを使わずに惑星どうしの絡みだけを見ています。
*ディグ・バリ:方角の強さといわれ、木星と水星は1室に在住するとディグ・バリを得るとされます。シャドバラを構成する力のひとつです。
*11年生:英国の教育システムを踏襲するインドでは、11年生のときの成績で将来の進路を決めます。
*カーラカーンシャ・ラグナ(कारकांश लग्न):ラーフとケートゥを除く7惑星のうち最も度数の高い惑星をアートマカーラカ(आत्मकारक)といいますが、ナヴァーンシャ(D9、9分割図)においてアートマカーラカが在住する星座をラーシ・チャート(D1)上でカーラカーンシャ・ラグナと呼び、ラグナ(アセンダント)のひとつとして扱います。(清水)
※著作物から要約・引用するにあたり、わたしはラオ先生との間で契約を交わしております。