前回まで仕事を目的とした外国渡航を扱ってきました。
今回は留学のケースを扱います。
海外赴任は10室が絡んできますが、留学は5室が絡んできます。
わたしもリーディングの際のホロスコープの検証では、5室と専攻科目をいつも関連づけて見ています。
出典
記事:”Planets Take Tem Across the Sea -II” Journal of Astrology, January-March 2002, pp23-24.
著者:K.N.Rao & Minakshi Raut
事例
最初の事例は、チャンダール・グプタの息子アナンタ・グプタに関する質問から始まります。
- 息子がアメリカに留学する可能性が出てきているが、それは現象化するかどうか?
- ひとり息子なので、もし息子が留学して遠くに行ってしまうことによって生じる心の空白は、親としては耐えられそうもない。しかしそれは息子にとってまたとなってない機会であろう。親であるわたしのホロスコープにそれが出ているのか?
- 大学から受け入れ通知が届いたが、駐印アメリカ大使館からはビザ発給を拒否された。その問題は解決するのか?
まず子息アナンタ・グプタのホロスコープから見ていきましょう。
Answer to Q1
最初の質問への回答はイエスです。理由は以下の通りです。
5室の支配星は12室の支配星と10室でコンジャンクトしています。
外国で教育を受ける事を示しています。
ダシャーは金星/水星期です。水星は12室の支配星です。
Answer to Q2
二つ目の質問への回答は、占星術を使うまでもなく容易に回答できます。
両親はたいへん裕福なので、外国に何度も訪れています。
電話で頻繁に連絡をとって心の空白を埋めることも可能でしょう。
むかしのインドとは違います。
一度離れたら二度と会えない恋愛小説は、現代では創作でしかありません。
Answer to Q3
三つ目の質問への回答も、容易です。
月はアナンタの3室の乙女座をトランジットし、旅行を表しています。
ダシャーンシャ(D10)
乙女座はダシャーンシャ(D10)では12室です。
1988年12月31日、アナンタはインドを去りました。
トランジットの月は乙女座にあり、それはラーシ・チャート(D1)では3室、ダシャーンシャ・チャート(D10)では12室です。
ダシャーンシャ(D10)には以下のような特徴があります。
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5室の支配星が12室に在住している。これまでの事例では、7室、9室、12室やそれらの支配星が10室と絡んでいるパターンを確認してきました。それは海外で仕事に従事する、あるいは海外駐在のケースです。今回の場合は留学ですので、10室のかわりに5室や9室(5室から見た5室、高度な教育)がこれらのハウスやその支配星に絡んできます。
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アンタルダシャー・ロードの水星は12室を支配しています。
- 両親のホロスコープも、ひとり息子が外国に渡航することを示しています。しかしそれらのホロスコープはここでは扱いません。
なぜ5室?
ところでなぜ5室の支配星が登場してくるのでしょうか?
(※南インドでは教育のハウスは4室とされています)
以下の3つの理由があります。
- パーラーシャラは、5室についてयन्त्र मन्त्र तथा विद्यと書いています。
- 北インドの占星術家は5室が教育のハウスであることを経験的に実感しており、さらにパーラーシャラによるお墨付きも得られていると思っています。
- わたしたちも5室とその支配星が教育を表すという前提でこれまでにも多くのプレディクションを行い、的中させてきました。
(つづく)
※著作物から要約・引用するにあたり、わたしはラオ先生との間で契約を交わしております。